CASE STUDY
KIBIT導入事例インタビュー
「類似文章検索」がKIBIT Libria導入のポイント。
毎日現場で行っている「災害情報の検索」が効率化され、
以前と比べ、10倍以上のスピードアップが実現
岳南建設株式会社
安全部 副長
岳南建設は、「送電線工事」に特化した独自性のある企業です。送電工事は東京電力管内、東北電力管内とエリアを限定して工事を請け負う企業がほとんどで、岳南建設のように日本全国をカバーする企業は稀だそう。1919年の創業以来、100年以上にわたり、全国津々浦々で送電線の建設、メンテナンスを請け負い、日本の電力インフラの礎を築いてきました。
山岳地帯や辺境地域で行う送電線工事には、事故・災害の危険がつきまといます。岳南建設は、事故・災害のリスクを減らし、安全管理を徹底するために「KIBIT Libria(キビット・リブリア)」を活用されています。どのようにしてAIで、安全管理の効率化を図っているのでしょうか。岳南建設の執行役員で安全部長の唯木氏、同じく執行役員で東京地区担当の赤木氏、安全部副長の高野氏に話をお伺いしました。
私たちが目指しているのは「災害ゼロ」の現場です。岳南建設は、100年以上の歴史を誇る送電工事に特化した企業として、教育も含めて、いろいろな安全管理を行っていますが、この安全管理において、AIをうまく活用できないかと考えたんです。
──AIと安全管理は、どう関連するのでしょうか?
送電線工事の現場では毎朝、TBM-KY(ツールボックスミーティング・危険予知活動)と呼ぶ朝礼を行っています。「今日はどういう作業をするのか」「誰がどこに入るのか」「どんな危険があるのか」という話を現場全体で共有していきます。
その際、職長さんがいまの現場、天候と類似した状況で起こった災害や事故の情報をご自身で引っ張り出して、「かつてこういう事故があったらから気を付けましょう」という話を現場のスタッフにします。この情報の引き出しをAIでうまくできないかと考えたんです。
──情報自体は、データ化されているんですか?
かつて、私が仕事をはじめたころは、パソコンもない時代で、完全に紙でした。その後、パソコンでデータ管理するようになって、ある程度はタイトルで検索できるようになったのですが、キーワード検索の精度がかなり粗かったんです。
職長さんも、事故の正式な件名を全部覚えているわけではありませんから、「あの事故、どこだったかな」と思っても、うまく見つけられないんです。現場から我々の安全部に「あれはどこにありますか」と問い合わせが来ることもよくありました。
このTBM-KY用の情報検索が、職長さんの大きな負荷になっていたんです。これをAIによって、効率化できないかと考えたのがはじまりです。
──そもそもの話で恐縮ですが、過去の類似事故の情報は、そんなに重要なんでしょうか?
事故は、同じようなパターンで繰り返されることが多いんです。過去の類似災害データを適切に探し出せれば、「実際にこういう事故が起きているから、ここはもう一度確認しよう」と、プラスアルファの注意喚起ができるわけです。
ベテランの職長さんだと、過去の事故を覚えていることもあります。でも、若い職長さんだとそこまでの蓄積がない。だから、AIを使ってスムーズに情報を探し出せるようになれば、この属人的な経験の差も埋められるのでは?とも考えました。自分より前に入社している人は、昔の災害をたくさん知っていますが、自分より後に入った人は、入社前の災害を基本的には知りません。よほど大きな事故でない限り、振り返って紹介されることは少ないですからね。
──数あるAIのなかで、KIBIT Libriaを選んでいただいた決め手はどこにありました?
KIBIT Libriaでとくにひかれたのは、「類似文章検索」です。事故の記述って、地域や会社によって言い回しがかなり違うんです。普通の検索だと、同じ言葉を入力しないとヒットしないことが多いですよね。でも、事故の状況は似ていても、記載する人によって表現の揺れが大きい。そこを拾ってこられるのがすごく魅力でした。
KIBIT Libriaの導入を決めたことで、社内で蓄積していた事故情報にプラスして、全国の各電力会社さんにお願いして、過去10年分の送電関係の災害データを集めました。ヒヤリハットも含めて、過去10年、約2000件ほどです。ただ、様式は各社バラバラで、PDFだったりWordだったり、形式もかなり違いました。
──実際にKIBIT Libriaを使われて、どんな効果がありました?
一番大きいのは、やはり類似の事故事例を探す時間が、大きく短縮されたことです。「掘り当てるまでの時間」が圧倒的に減りました。
以前は、見つからなければ1時間、2時間とかかっていましたし、最悪見つからないこともありました。それが、5分とか10分くらいで見つけられるようになる。これはかなり大きい成果だと思います。
──全国の現場でKIBIT Libriaを使っているのでしょうか?
いまは109アカウントを使っていて、現場の数としては30カ所程度で活用しています。ただ、いまIDを持っているのは主に社員であって、作業班長さんや職長さんたち協力会社の方にも利用してもらいたいです。そこまで含めて使ってもらうには、やはりもっと簡単に使える形にしないと難しいですね。
──どういった形が理想でしょう?
最終的には、現場の職長さん自身が使えるところまで持っていきたいんです。ただ、文字入力がネックになるので、音声認識のような形で「今日こういう作業をするんだけど、過去事例を何か出して」と言えば、関連する事例が出てくるようになると理想ですね。
音声で使えるとか、手書きの打ち合わせボードを写真で撮るだけで関連事例が出るとか、そこまでいけば誰でも使いやすくなります。
せっかく2000件のデータベースがあるので、それをどう活用してもらうかが重要なんです。私は、今の仕組みが完成形だとは思っていません。ここから改良して、もっと誰でも使えるものにしていきたいです。
──音声認識といったUI以外に、何か現場から要望は出ていますか?
大きいのは「再発防止策も一緒に見たい」という要望ですね。今回収集したのは、基本的に災害速報そのものなんです。「事故が起きた」という情報はあるんですが、再発防止対策までしっかり載っているケースは限られています。
現場としては、「こういう事故があった」だけでなく、「では、どう防げばよいのか」までセットで出てくると助かる、という声があります。
──そういった現場の声をフィードバックしていただいて、KIBIT Libriaの使い勝手を高めていきたいですね
はい。使い勝手がよくなれば、さらにいろいろな領域で使えるのではと思っています。施工計画や安全以外の分野でも、まだ広げられる余地はあるでしょうね。
今回、KIBIT Libriaを導入してよかったのは、私たちの頭のなかにある、ふわっとしたイメージを理解して、実現してもらえたことです。
私たちは送電線工事の専門家ですが、AIの専門家ではありません。「工事の現場では、こういうことができたらやりやすい」というこちらの漠然としたイメージをFRONTEOの方がAIの専門家として翻訳してくれ、具体的にAIに落とし込んでくれました。これはありがたかったですね。