CASE STUDY

KIBIT導入事例インタビュー

SMBC日興証券株式会社

人とKIBITが協力して
膨大なモニタリングデータの全量チェックを実現。
AIの力で社員の経験差によるばらつきも解消

佐々木部長 圧縮
SMBC日興証券
デジタル戦略部 部長
佐々木 有香氏
森田課長 圧縮
SMBC日興証券
デジタル戦略部 DX推進課 課長
森田 純一郎氏

SMBC日興証券株式会社は、SMBCグループの総合証券会社として、広範な顧客基盤や高度な信用力を生かしたビジネスを推進しています。

同社のデジタル戦略部は、全社のDX 推進による生産性向上の推進部署として、モニタリング業務に「KIBIT(キビット)」を活用し、業務効率化と高度化を実現しています。AIと人の業務のすみわけをどのように図り、社内に浸透させていったのか、同部署の責任者である佐々木 有香 氏と同部DX 推進課の森田 純一郎 氏にお話を伺いました。

SMBCロゴ

SMBC日興証券株式会社

住所:東京都千代田区丸の内1-5-1
設立年月日:2009年6月15日
資本金:1350億円
従業員数:9317名(2023年6月30日時点)

導入背景

少量の教師データで稼働するKIBIT で
「大切だけど負荷が高い」業務を効率化

──業務にAIを導入したきっかけを教えてください

佐々木氏:私たちは、お客さま本位の業務運営をグループ一体で基本方針に定めて取り組んでおり、常にお客さまの視点で考えることが社内で徹底されています。中でも、自社のサービスや商品開発、企画の中にお客さまからの声を取り込むこと、取引においてしかるべきルールをしっかり守ることが最も重要だと考えています。

日々、取引量やお客さまの数が増えていく中で、2018 年に始めた働き方改革プロジェクトをきっかけに、デジタル技術を用いた業務の効率化・高度化について検討を始め、課題の洗い出しのために現場のヒアリングを実施しました。そこでお客さま本位の業務運営に必要なモニタリング業務が、大事な業務である一方で、業務負荷が高いことがわかりました。また、モニタリング担当者の経験の差によってモニタリング観点の精度の差が生じる可能性を減らすことも課題でした。効率化だけでなく平準化という点においても、取引モニタリングの前段となる優先順位の判断についてAIを活用し課題解決できるのではないかと考えました。

──KIBITを選ばれた理由は

佐々木氏:教師データが少なくて済むことです。モニタリングは、リスクが高い事象を検知するためのものです。日々行われている営業員とお客さまとの会話の中で、学習に必要なNGデータがとても少ないことが初期の段階でわかりました。かといって、AIに学習させるために意図的にNGデータを作っても、臨場感のある現場のデータとは精度に開きが生じます。そうした点からも、少量の教師データで解析できるKIBITを選びました

KIBIT導入前の課題

  • 社内業務の効率化・高度化を進める中で、モニタリング担当部署の作業負荷が非常に高い
  • 社員の経験の差によってモニタリング観点の違いやばらつきが生じる可能性がある

導入時に苦労した点

AIを育てる仕組みを導入し、AIへの信頼感を高める

──AIを導入した際に障壁になったことはありますか

佐々木氏: 導入当初は、KIBITで疑義を識別する以前の音声テキストデータの書き起こしの精度が低く、いくらKIBITが疑義データを抽出しても、該当する音声テキストの内容がよくわからず、AIの選別に不安が残るという声を多く貰いました。AIに対する信頼性を高めるには、モニタリング業務に限らず、人とAIがどのように協働していくのかという課題があります。そこで、音声テキストの精度を高めるために単語登録を見直し、お客さまと会話する金融用語や毎月出てくる商品の情報を取り込む仕組みを作るといった対応を行い、全体の精度を底上げしました。これらは人の新たな仕事です。AIの信頼感を高めるには周辺領域も含めたデータの整備が重要な課題でした。

森田氏:AIと人とのすみわけは悩みどころの一つです。例えば、モニタリング業務で言うと、フロント部署へは正確な情報を伝えたいので、KIBITが抽出する疑義データの中から明らかに疑義レベルが高いものだけを還元したくなる一方、コンプライアンスの立場では抜け漏れがないように疑義レベルが低いものも幅広く還元したい気持ちもあります。その匙加減はシステム的に決められるものではなく、モニタリング担当者が持つ人の感覚が必要です。KIBITの良さを生かすという意味でも、関連部署を巻き込んでKIBITを理解し活用することが必要でした。

──どのような対応で乗り越えましたか

佐々木氏:業務にAIを導入する際には、どういうプロセスを辿るかを可視化し説明するのはもちろんですが、業務を担当している現場の部署と最初の一歩を踏み出すことが重要です。導入部署や関連部署と一緒にスモールウィン(小さな成功)を積み重ねていくことで、AIの効果の実感に繋がると感じています。

森田氏: 具体的には、実際にモニタリング業務を行っているフロント部署にも文書を見てもらい、KIBITがどのように判断を下し、順序をたてて抽出したのかを一緒に確認しました。さらに、どこに閾値を設けると結果がどう変わるかを踏まえ、最適な閾値を一緒に調整しました。また、今のKIBITが得意とする分野と、人が得意とする分野が明確になったこともプラスに作用しました。マーケットの変化は人の方がすぐに把握して注視すべき観点を自由度高く変えられます。AIが得意そうなこととそうでないことを理解して、業務のすみわけをしていく。それを積み重ねてAI活用を浸透させていきました。

導入後の効果

KIBITと人でモニタリング体制を構築し
1日約2,500 件のデータの全件チェックを実現

──KIBITの導入でどんな効果がありましたか

佐々木氏:モニタリング時間の削減と、業務の平準化です。例えば、あるモニタリング業務では、膨大なデータから査閲すべき対象を抽出した際、その量が1日当たり約2,500 件とすると、人が査閲できるのは対象データの5割弱で、全件を見ることは不可能に近い状態でした。KIBIT導入後は、AIが対象データの全件を査閲し、リスクの高い内容から順位をつけて抽出してくれるため、初めから確認すべきリスクの高いデータにアクセスできますし、人が見る査閲割合も3割にまで圧縮し、業務効率化を図ることができました。(図参照)また、ベテランと初任者でスキル差がありながらも、最初にAIが見るべきところを抽出してくれるので、平準化の効果もありました。

図版

森田氏:横展開が容易にできたことも挙げられます。最初にKIBITを導入した部署におけるモニタリングの中でも、お客さまとの会話内容をチェックする取引モニタリングでKIBITが効果を発揮したため、お客さまの声を集めて施策に生かす経営企画のお客さま本位推進室でもKIBITを導入しました。自然言語データが大量に保有されていて、人では網羅的な確認が困難な業務においてKIBITは有効です。お客さまとのコミュニケーションツールは電話やメール、LINEのようなSNSなど多様にあります。現在はこれらのチャネルを超えて、お客さまの声を収集し活用することを検討しています。

佐々木氏: KIBITの導入により、AIと人が一緒に業務をしていくのはどういうことか、社内の意識が高まりました。AIは導入して終わりではなく、AIが役割を果たすための周辺準備を整えるのは人の役割です。リリース後に何も対応しないでおくとAIの精度は伸びませんので、ユーザ部署の意見を取り込みながら、AIの精度検証・モデル更新・データ追加を継続することが重要です。また、AIの精度は100%になることはないため、AIに任せていい業務/いけない業務を選別することや、必要に応じて、人的判断のフローの導入を検討することも重要であると学びました。

AIの導入で楽になることはありますが、一方で新しい仕事も生まれます。AIを最適な業務支援パートナーとして活用するためには、日々育て続けなくてはいけないと学べたことも、導入効果の一つだと感じています。

KIBIT導入の効果

  • 膨大な量のデータの査閲に対し、KIBIT導入後はAIと人の協力で全量チェックを実現。モニタリング業務の質の向上と効率化が図れた
  • KIBITで解析することで、リスク値の高いメールから優先的に査閲が可能になり、モニタリング時間の削減に寄与
  • モニタリング領域におけるKIBIT 活用ができつつあるため、「お客さまの声」を生かす部署でもKIBIT 活用を横展開

今後の展望

季節性や市場環境に応じた“トレンド”をAIに取り込みたい

──KIBITの導入でどんな効果がありましたか

佐々木氏:データを使う担当部署の社員と一緒に、変えるべき箇所やチューニングのポイントを考えています。チームとしてさまざまな部署に入ってもらい、利用者のアンケートを定期的に収集する、FRONTEOのエンジニアと密にミーティングを行うなど、チームアップが重要です。AIの導入作業を行うチームが現場からかけ離れてしまうと、精度は良くても実際に使うときにギャップが生まれてしまう、閾値のコントロールにおいて絶妙感を出しづらくなる、といったことが発生する可能性があります。それらを避けるためにも、「デジタル戦略部」「現場」「FRONTEO」の三位一体のチームができているのは理想の姿です。

森田氏: 現場の声の重要性は実感しています。KIBITに取り込む教師データに何を選ぶかは、現場の感覚が生きるところです。季節性や市場環境に応じてトレンドは変化するので、少量のデータの中でバランスを考慮することは、現場の業務を熟知している人だからこそできるものです。デジタル戦略部はDXの推進だけにとどまらず、デジタル人材育成を担っている部分もあります。お客さまとビジネスを熟知している現場と一緒にデジタルの良さを学び、理解し、最大限に活用してもらえることを目指しているので、今後もチーム一体でKIBITを育て、活用していきたいです。

──KIBITの今後の課題

森田氏:社内で実際にKIBITを扱っている人は限られています。今は解析チームがKIBITの抽出したデータを現場に渡すという流れになっていますが、将来的には日々入ってくる情報をKIBITが解析し、全社員が共有できる形が理想だと考えています。

佐々木氏: 今回AIを導入したのは当社の業務の一部です。私たちはユーザ部署から、負荷の高い業務に対しAIを活用できないかという相談を頻繁に受けています。モニタリング業務の成功体験を他の部署にも横展開できるよう、新たな広がりを見つけるため、異なる観点で使える余地を一緒に模索していきたいです。

★企業ロゴ前 圧縮
 
 
  • HOME      >      
  • KIBIT導入事例インタビュー SMBC日興証券