製造業では、「生成AIの活用」をはじめDX化によって長年の課題である「技術伝承」「社内ナレッジ活用」を解決することが期待されています。しかし導入した生成AIの精度が実用レベルに達しないなどで、各社で試行錯誤が続いています。ここでは製造業の社内ナレッジの活用の課題と対策を整理するとともに、生成AIで起こる課題を補完できるFRONTEOの独自AI「KIBIT」も紹介します。

製造業の課題:現場では「技術伝承」も「DX推進」も求められる


製造業を取り巻く課題の中でも「技術伝承」は常に筆頭に挙げられます。DX化による改善も期待されていますが、なかなか難しい課題です。

外部環境の課題
労働力不足と将来への危機感

熟練技能者の高齢化が進む一方で、若手人材が不足してきています。このまま技術の伝承が滞れば、企業の存続すら危ぶまれます。

内部環境の課題
人材育成のジレンマと成果の見えづらさ

技術伝承が重要であることはわかりつつも目の前の業務に追われる中で、短期では成果が見えづらく時間を要する人材育成は後回しになりがちです。

製造業で急がれる、DXと生成AI活用


製造業のDXについて、経済産業省のIT政策実施機関であるIPAでは次のように述べられています。ただデジタル化するのではなく、目指すべきゴールは業務を変革することです。

・製造分野DXに関するIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の定義:

「製造分野DX とは、顧客価値を高めるため、製造分野で利用されている製造装置や製造工程の監視・制御などのデジタル化を軸に、ITとの連携により、製品やサービス、ビジネスモデルの変革を実現すること」

出典:https://www.ipa.go.jp/digital/dx/mfg-dx/ug65p90000001kqv-att/000096313.pdf

製造業×生成AIでとくに期待されるのは、文書関連の業務

「製造DX」のなかでも注目されているのは、製造業の属人化した現場のナレッジ・ノウハウをデータ化し、人材育成や生産性の向上に活かすソリューションです。従業員の「カン・コツ」に頼っている文書関連の作業を生成AIで効率化したい、技術伝承につなげたいという期待が伺えます。

(Salesforceの調査より。 https://www.salesforce.com/jp/blog/jp-manufacturing-ai/

製造業で生成AIを活用する際の注意点


生成AIとそのベースであるLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)の発展は著しく、汎用的な用途で期待を集めています。一方で、生成AIを製造業で活用する際のハードルとして、弱点や注意点を知っておく必要があります。

注意点①
コストが上昇しやすい

多くの生成AIプラットフォームはトークンの使用量に応じた料金体系で、利用量が増えるほどコストも増加します。とくに製造業では大量のデータを処理する必要があるため、利用量が膨らみやすい点に注意が必要です。

注意点②
生成AIありきになりがち

生成AIは“万能”だと思われがちですが、生成AIはあくまで「生成」が目的のAIです。RAG(Retrieval Augmented Generation)の手法も工夫されていますが、製造業に特化したモデルとはいえません。生成AI「だけ」で対処しようとするより、製造業に適した技術や手法と組み合わせる方がさらに効果的な活用が期待できます。

注意点③
過去の強みを活かしづらい

LLMは一般知識を学習したモデルです。製造業の技術継承の核心である、長年の経験や独自の技術、ノウハウや過去事例のような強みを活かしづらく、企業独自の専門用語への最適化も容易ではありません。LLMはパラメーター数が膨大でチューニングがベンダー任せとなりがちな点も、企業ごとの最適化の面から大きな課題です。

10年以上の社会実装実績をもつ技術伝承に最適なAI「KIBIT」


生成AIの企業への導入が進むと同時にその課題も顕在化する中で、生成AIの課題や弱点をカバーするのが、FRONTEOの特化型AI「KIBIT」です。

FRONTEOの「KIBIT」は、製造業の技術伝承に必須の機能といえる「情報の発見」に長けているのが特徴。不正調査や訴訟支援の分野をはじめとして10年以上に渡り多くの企業に導入されてきました。

製造業の技術伝承につながる「情報を発見」するためには、技術文書や施工計画書といった過去の未整理データから必要な情報を「適切に検索すること」が求められます。

文書からの情報検索にAI「KIBIT」がもたらす効果


効果1:時間を創出できる

AIを使って文書・書類からの情報発見の効率をより高めることで得られる効果は、時間の創出です。設備トラブルを例にとると、トラブル発生時に過去事例を検索して類似のトラブル事例に的確にヒットできれば、トラブル調査の時間、修理時間の大幅な削減がともに可能です。

効果2:繰り返し検索しやすいことで人もモデルも成長

FRONTEOのAIエンジン「KIBIT」は、その高速性も大きな特徴です。生成AIのLLMとは異なり、KIBITは最小限のパラメーター数で構成された独自のアルゴリズムを使用しており、高速な処理速度を実現しています。モデルの学習に必要なデータが少量で済む点も強みです。

KIBITが製造業の技能伝承に貢献できる4つのポイント


さまざまな手法で検索を試せる

「概念検索」「キーワード検索」「概念×キーワード検索」そして「AIによる重要単語」と複数の検索手法を組み合わせ、多様な検索ニーズに対応できます。AIエンジンが軽いので検索自体が速く、検索結果のサムネイル化で視認性にも優れた検索ができます。

異なる言い回しも「意味」でヒット

単語や文章の関連性を見出す独自アルゴリズムで、AIが意味を理解しているかのような検索が可能です。独自用語を含む自社データでモデルを学習させ、そこで検索ができるため、自社データの用語が埋もれることなく独自用語に強い検索ができます。

社内データに特化したDBの構築

FRONTEOのデータサイエンティスト(DS)のノウハウが、類義語やチャンク分けの判断などDBの整理で発揮されます。DSの専門知識とAI技術で、社内データに特化した”活きた”キーワードのデータベース(DB)を構築できます。

クローズド環境でAIを自社運用できる

オンプレミスのクローズド環境で提供できるため、機密情報の漏洩リスクを低減します。数十万件もの膨大なデータからも、数少ないデータからも的確に検索できることで、製造業の独自技術、いわば”秘伝のたれ”の社内でのナレッジ化を実現します。

・異なる言い回しが検索でヒットするイメージ例

3ステップで社内の「非構造化データ」を活かして技術伝承を実現する


FRONTEOが蓄積してきた文書調査の実績とノウハウは、製造業の社内データ整備にも大きな力を発揮します。とくに非構造化データから的確にテキストデータを抽出する作業において、不正調査や訴訟支援などの文書解析の知見を最大限に活かすことができます。

STEP1 データ整備

過去トラや作業マニュアル、仕様書、作業日報・施工報告書などの非構造化データを整理します。FRONTEOは、データ整理にも自社のAI技術を用い、さらにテキストを分類・整理する独自ノウハウも活かして最適に整理を進めます。

STEP2 検索機能の実装・確認

整備したデータを元に現場で検索を実施します。実際の検索結果ログを収集するとともに、現場で「どの業務で、どんな検索文を入れようとするか」という現場ヒアリングも重要だとFRONTEOは考えています。

STEP3 データの利活用・運用

KIBITで精度の高い情報を抽出し、生成AIで仕上げます。検索して得られたデータを生成AIに要約・翻訳させたり、類似ドキュメントを作成させたりすることで業務の効率が飛躍的に向上します。

とくに、データ活用の前段階の「データ整備」は、文書や書類に蓄積された暗黙知を形式知へと転換する第一歩であり、企業の知識資産を最大限に活用するカギとなります。「検索機能の実装・確認」とあわせて社内の膨大なデータを相手にする大変な作業であり、同時に非常に重要な工程です。

FRONTEOのAI「KIBIT」と生成AIの違い


生成AIは学習したパターンを元に、文章など別のデータを生成することを得意とします。一方でFRONTEOのAI「KIBIT」は、専門領域の人間の判断・暗黙知を再現して膨大な情報から必要な情報を探し出し、発見を導くことに長けています。

  特化型AI「KIBIT」 汎用用途の生成AI
利用環境面 オンプレミス、かつインターネット接続不要なクローズの環境   クラウド環境
テクノロジー 国産AIかつグローバルで特許を取得
少量データでも活用可能なアルゴリズムを搭載
  生成AIベンダーに依存
運用面 少量のデータで済み、ブラックボックス化しない   大量のデータが必要、
  RAGの調整に高い負担

 

AIを適材適所で使い分けて活かす。
技術伝承によるデータ活用はFRONTEOへ


生成AIを既に導入済みの場合も、そこへ「KIBIT」を組み合わせることで、製造業の大きな課題のひとつ「技能伝承」を解決し、変革できる可能性があります。KIBITと生成AIは異なる特長を持つ「AIの仲間」で、それらを利用するわれわれが、特性を理解して補い合わせることで、より高度な課題解決を実現できるのです。

FRONTEOは、製造業向けに社内の知見活用を支援するシステム「匠KIBIT零」を提供しています。「KIBITができること」「生成AIでできること」それぞれを組み合わせて活かすことで、真にAIを「現場の業務へ実装する」ことができます。

社内の未整理データを見つけ出すFRONTEOのAIソリューション

テキスト解析に特化したAI「KIBIT」が、社内の未整理データを解析して必要な情報を抽出し、企業の社内ナレッジの共有をサポートします。

takumi KIBIT

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匠KIBIT零は、時代や部署毎にフォーマットが異なる未整理データを解析し、社内の知見活用を支援するシステムです。

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